こんにちは多機能型通所支援事業所リーノです。シリーズ4回目をお届けします。
Aくんのお母さまは、リーノでの考え方を受け止め、家庭でも対応を試してくださいました。これまでは、Aくんが強く怒ると、「ごめんね」と声をかけながら、要求をかなえることもあったそうです。
もちろん、それは子どもに甘いからではありません。大きな声で泣き続ける姿を見るのは、ご家族にとってもつらいものです。忙しい時間帯であれば、生活を先に進めなければならない事情もあります。「早く落ち着かせてあげたい」と思うのは、親として自然な気持ちです。
今回は、Aくんが怒っても、すぐに要求をかなえるのではなく、安全を見守りながら、必要以上に声をかけずに待ってみました。するとAくんは、しばらくした後、自分から気持ちを切り替えることができたそうです。
これは、とても大切な経験です。大人が言葉で納得させたから切り替わったのではありません。欲しい物を渡してもらったから落ち着いたのでもありません。Aくん自身が、気持ちの波を越え、次の行動に移ることができたのです。
Aくん自身が、気持ちの波を越え、
次の行動に移ることができました。
子どもが怒っているとき、大人はつい、たくさん説明したくなります。「さっき約束したでしょう」「もうおしまいだよ」「怒っても仕方がないよ」「どうして分かってくれないの?」。しかし、感情が大きく高ぶっているときには、言葉を受け止めたり、筋道を立てて考えたりすることが難しくなります。声かけが増えるほど、やり取りそのものが長引く場合もあります。
必要なことを短く伝えた後は、まず落ち着くための時間を保障する。危険がなければ、静かに見守る。そして落ち着いた後で、「自分で落ち着けたね」「おしまいにして、お風呂へ行けたね」と、できたことを伝える。こうした経験が、「嫌だったけれど切り替えられた」という自信につながります。
ただし、見守ることと放置することは違います。物を投げる、自分や他者を傷つける、飛び出すといった危険がある場合は、安全確保を優先します。また、疲れや空腹、睡眠不足、課題の難しさなど、怒りやすくなる条件を整えることも欠かせません。
「怒っても要求は変わらない。でも、落ち着くまでそばにいてもらえる」。Aくんにとって、その一貫した安心感が、新しい学びの土台になっていきます。
次回予告 これからリーノがAくんとともに育てていきたい「折り合う力」についてお伝えします。
多機能型通所支援事業所リーノ
作業療法士 梅内 峰宏
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