リーノ式療育その3:リーノではできるのに、家ではできないのはなぜ?

こんにちは多機能型通所支援事業所リーノです。

コラムシリーズその3をお届けします。

療育を始めて約1カ月。Aくんは、リーノでは少しずつ気持ちを立て直せるようになってきました。一方、お母さまからは、「家庭や保育園では、以前よりかんしゃくが増えたように感じます」というお話がありました。
このような変化があると、ご家族は不安になります。「療育の負担が大きいのではないか」「我慢させている反動ではないか」「支援の方法が合っていないのではないか」。そこでリーノでは、Aくんが怒る前後の状況を一つずつ整理しました。
Aくんが取り組んでいるのは、何度も失敗を重ねなければならないような難しい活動ではありません。何回か挑戦するうちの一回がうまくいかなかったときや、カルタのようなルールのある遊びで友達に一枚取られたときなど、比較的小さな「思いどおりにならない場面」で怒りが現れていました。活動量や課題の難しさだけを見る限り、明らかな過負荷が原因とは考えにくい状況でした。
そこで見えてきたのが、これまでの経験との関係です。周囲の大人は、Aくんを困らせたいと思って対応してきたわけではありません。泣いたり怒ったりする姿を見ると、「つらい思いをさせたくない」「早く泣き止んだほうがいいかな」と思うのは、とても自然なことです。
その結果、怒ったときに欲しい物を譲ってもらえたり、かけっこで一番になれるよう調整してもらえたりすることがあったのかもしれません。そうした経験が重なると、子どもは意識しないまま、「強く怒れば状況が変わる」と学ぶことがあります。
そして、これまで通用していた方法が通用しなくなると、一時的に、もっと強く、あるいは何度も試そうとすることがあります。これは、子どもが悪くなったということではありません。新しい方法を身につける途中に現れることのある姿です。
一時的に怒りが強まっても、子どもが悪くなったとは限りません。
新しい方法を身につける途中の姿かもしれません。
もちろん、すべてを環境だけで説明することはできません。気持ちの切り替えにくさ、勝敗へのこだわり、悔しさを強く感じやすいことなど、Aくん自身の特性も関係しています。
だからこそ、「本人の性格が悪い」「家庭の対応が悪かった」と、誰かを責めても解決にはつながりません。必要なのは、Aくんの特性と、これまでの経験の両方を理解し、これからどのような経験を積んでもらうかを考えることです。
次回予告 お母さまが家庭で試された対応と、Aくんに起きた変化をご紹介します。
多機能型通所支援事業所リーノ
作業療法士 梅内 峰宏

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