前回に続きシリーズ第2回目です。リーノに通い始めた頃のAくんは、運動で失敗すると大きな声で怒ったり、友達とのゲームに負けるとかんしゃくを起こしたりすることがありました。
そんなとき、リーノが大切にしたのは、Aくんの気持ちと要求を分けて考えることでした。
「負けて悔しかったね」「うまくできなくて嫌だったね」。気持ちは、しっかりと受け止めます。悔しさや悲しさを感じること自体は、悪いことではないからです。
一方で、怒ったことによってルールを変えたり、勝ったことにしたり、欲しかった物を渡したりはしません。リーノではこれを、まずは「怒りによる要求を通さない」支援と考えています。
ただし、これは子どもを突き放したり、力で抑えたりすることではありません。安全を確保しながら、必要以上に説得や交渉を重ねず、落ち着きを取り戻すまで対応します。そして気持ちが静まった後に、「もう一回やってみる」「少し休んで戻る」「貸してと言葉で伝える」など、次に取れる行動を一緒に考えます。
気持ちは受け止める。
けれど、怒ったことでルールや約束は変えない。
Aくんの様子に応じて、個別に落ち着ける時間を設けることもありました。課題の難しさや活動時間も調整し、できたことは具体的に認めました。
「負けたけれど、最後まで座っていられたね」「怒った後、自分で戻ってこられたね」「もう一回やる、と言えたね」。結果だけでなく、立て直そうとした過程を丁寧に認めていきます。
こうした支援を繰り返すうちに、Aくんがリーノで大きく怒る場面は少しずつ減っていきました。ここで目指しているのは、大人の言うことを何でも聞けるようにすることではありません。自分の感情を持ちながらも、怒りだけに動かされず、次の行動を選べるようになることです。それは、これから友達や集団の中で生活していくための、大切な土台になります。
ところが、リーノで落ち着く姿が増えた一方、家庭や保育園では、かんしゃくが少し増えたように感じられるというお話がありました。これは、支援がうまくいっていないということなのでしょうか。
次回予告 場所によって子どもの姿が異なる理由を考えます。
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